学部卒の新社会人には得られない大学院生の5つのメリット


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こんばんは、蓬莱です!

いきなりの私事で申し訳ありませんが、蓬莱さんは後1ヶ月で新社会人となります。

学部4年間と大学院2年間の勉学を経て、ようやく社会貢献に一躍を担う存在になりますね。

 

このブログはどちからと言えば不真面目な記事が多いですが、自らの経験を活かした真面目な記事も作成しております。

理系大学生のスケジュールの一例をまとめた「知っておきたい理系大学生の生活!4年間の生活を見てみよう!」の記事も、ささやかながら反響がありました。

 

今回は、大学院生活の終了の区切りとして、「大学院に行くメリット」について考えていきます。

ありふれたテーマではありますが、内容はかなり他と異なっているため、参考になると思います。

 

 

はじめに

大学院のメリットを考える記事は、実は過去に一度書いたことがあります。

参考記事:実はデメリットだらけ。たった1つのメリットのために就職を捨て大学院生になりますか?

 

誇大広告っぽいタイトルの記事ですが、素直な気持ちそのままで書いた記事です(まぁ、デメリットというのは言い過ぎですが)。

この参考記事では、大きく2つのことが書いてあります。

  • 大学院で見につく能力は、別に社会人になってからでも見につくので意味がない
  • 若いうちの社会的な立ち位置や信頼は、学部卒の方がはるかに高い

 

大学院生になってから半年経ったころ(M1の10月時代)に書いた記事ですので、あまり大学院の魅力を分かっていなかったかもしれませんね。

今回は大学院を2年経験した状態で、しっかりとしたメリットを紹介していきたいと思います。

 

なお、筆者がどんな大学院生活を送っていたかについては、下記の記事を参照いただけると何となくわかると思います。

簡単に言ってしまえば、全国の大学院生の皆さんの例におぼれず、ドM社畜プレイをしていました。

理系の大学院生ならば、当たり前の生活なのかなと思っています。洗脳済みとはまさにこのことです。

参考記事:社畜も驚くほど忙しい!理系大学院生の生活とスケジュールを見てみよう!

 

 

海外留学・旅行はなぜ魅力的なのか?

大学院に行くメリットについて考える前に、海外に行くメリットを考えてみましょう。この際、海外留学でも海外旅行でもどちらでも構いません。

海外に行くメリットを考えてみると、結構浮かんでくると思います。特に、下記の2項目はかなり大きなメリットと言えるでしょう。

  • 語学の勉強ができ、外国語を使えるようになる
  • 人生観が変わり、自己成長につながる

 

高校・大学まで学んできた英語を”使えるモノ”にできるのは魅力的です。また、日本では経験できないものに触れることで、自分の考えや人生観を変化させることができます。

海外に行くメリットを一言で表すならば、「日本では経験できない掛け替えのない体験を得られる」と言えそうですね。

 

 

大学院に行かないと得られない経験

大学院5つのメリット

では、大学院のメリットとは何なのでしょうか。

先の海外の例を見れば、「大学院に行かないとできない経験」が、望ましいメリットと言えそうです。

 

ここで、1つのメリットとして挙げられる、スキル(能力)が見につくというメリットについて考えてみましょう。

大学院生は研究を通して、学会などで培われる発表スキル、論文を書くためのライティング技術、論理的思考力の向上させることができます。

当然ではありますが、一般的な会社で使用されるワード、エクセル、パワポなどについても、一通りの経験を積むことができます。

また、他大学の学生や教授、企業の方や研究者たちと交流することもあるので、TPOをわきまえたマナーやコミュニケーション能力の向上も期待できます。

 

しかし、これらは別に大学院に行ったからと言って身につくほどのスキルではありません。

社会人として日々パソコンで文書や積算をしたり、上司や顧客と意思疎通を交わすことで、上記の能力は間違いなく身に着きます。

このように、別に大学院に行かず学部卒で就職しても、ある程度見についてしまう事柄については、大学院に行くメリットとは言いにくいです。

正しい表現をするなら、「大学院に”行っても”身につく能力」ということになります。

 

じゃあ何がよくて大学院に行くのでしょうか。

それは能力ではなく経験に答えがあると思います。

経験と言う見方に変えれば、先の海外の例のようにそれらしいメリットを見つけられそうですね。

この経験という視点から考えた結果、5種類のメリットを見出すことができました。1つ1つ紹介していきましょう。

 

 

メリット1:お試し社会人を体験できる

前提として、研究室は1つの小さな企業だと思っています。

トップに教授がいて、助教、博士学生、修士学生(M)、学部生(B)とピラミッド型の構成が基本です。

このピラミッドはあくまで一例であり、研究室によっては助教や博士がいない「教授、修士学生、学部生」として構成されている研究室もあります。

こういう場合は、修士2年生が学生のトップに立つことになりますね。

 

この小さな企業の中では、ゼミという会議が行われています。

1~2週間分の研究成果を資料やパワポにまとめ、先生や先輩が納得する形で発表をしなければなりません。

また、後輩に対しては指導と言う形で、自分の勉強してきた内容をレクチャーする必要があります。

 

これらは、会社が実際に行っている会議や指導と、まったく同じものです。

大学院を小さな企業と称しても何ら問題のないことが、この文章からわかると思います。

※唯一、大学院生と社会人と違う点は「顧客の有無」になります。この記事は経験について注目しているので、今回は割愛して考えていくことにします。

 

この小さな企業の中で生活をすることは、まさしく社会人として経験を積むことと同義です。

もちろん社会人の練習として意識することが前提ですが、このように言い切ってしまって問題ないと思います。

存分に「お試し社会人」を経験した上で、自分のやりたいことや実現したい生き方を見据えて就活できるのは、大変に素晴らしいことだと思います。

 

 

メリット2:様々な立場を経験できる

新社会人になる前に、しっかりした組織で多くの立場を経験していることは、大変な強みになります。

ここで言うしっかりした組織とは、当然ながら研究室のことです。

 

修士学生として卒業することを考えると、大きく3つの立場を経験することができます。

B4は末端となる後輩の立場、M2はトップの先輩としての立場です。その間に挟まれているM1は、言わば中間管理職と言うべきでしょう。

 

3つの立場は面白いことに、それぞれに応じて異なる困難が待ち構えています。

B4では先輩たちの要求や期待に対し、できる限り応えなければなりません。血のにじむような思いをして、慣れない研究と勉強を頑張ります。

中間管理職M1は、自身の研究と合わせて後輩の指導と大学の講義を並行して行う、マルチタスクをこなさなければなりません。また、研究室全体を見渡す目線もここで養う必要があります。ここだけの話、結構無理ゲーです。

学生トップのM2に至っては、生活やゼミでは模範となるべき行動をし、どうすれば研究室がより良い方向に向かっていくか考えなければなりません。会社でいう役員のような状態であり、先生に向かって何かしらの提案をすることも珍しくありません。

 

見ての通り、やっていることは間違いなく社会人と同じことです。

この3つの立場を社会人になる前に経験しておけることは、幸福以外の何物でもないと思います。

 

当然ながら、学部生で卒業してしまうと、研究室では後輩の立場しか経験できません。

会社に入って先輩になる機会は入社後2~4年目くらい、中間管理職として会社全体を見渡す機会は10~15年後、それ以上は想像もつきません。

 

大学院で3つの立場を経験してるからこそ、若いうちに全体を見渡すような視点や考えができたり、より大人な考えを持つことができるようになるのです。

上司の心境を理解できたり、部内で自分が求められている活動が何かを悟れる新社会人は、正直強すぎます。

強いまま社会人になる。「強くてニューゲーム状態」という表現がうってつけであり、まさに理想の状態のまま社会生活を迎えられるはずです。

 

 

メリット3:研究を通して培う自発性

次に、研究について触れていきましょう。

まず、研究においては「自分で考え結論を導き出す」という作業をしないといけません。

 

新しいものを生み出す研究活動には、マニュアルなどは一切なく、最初から自分で考えてやり抜く必要があります。

研究のアプローチは、既存の定理や手法をかけ合わせたり、まったく新しい技術を応用してみるなど様々にあり、非常に自由度が高いです。

これだけ自由度が高いということは、裏を返せば自分で考えなければならないということになりますね。

この作業を日々繰り返し行うことで、「自発性」と「問題解決力」が養われていくのです。

 

新社会人は即戦力となるために、新人研修や現場研修などで、勉強に勉強を重ねていると思います。

きっと先輩のサポートも手厚いはずで、働くための知識をどんどん頭に叩き込んでいるでしょう。

 

しかし、この時の勉強の姿勢は、大抵「受身の姿勢」です。

先輩やマニュアルからモノを教わり、それを自分の中で取り込み、体系立てていくという流れが一般的かと思います。

自分で考えるという過程もあるとは思いますが、単に学ぶだけで実践や応用の分野にまで到達していなければ、「自分で考える自発性」という意味ではだいぶ薄まってしまう印象です。

 

研究で培う問題提起から解決までのプロセスをたどった課題解決力は、当然のことながら研究活動でしか得ることはできません。

どちらの能力も社会人には必要ですので、10年後20年後もきっと役立つ姿勢になると思います。

 

 

メリット4:ベテラン社会人と社会人同期とのふれあい

研究室にいると、日本の将来を動かしているような滅茶苦茶すごい方たちと出会う機会があります。

多くは担当教授のツテ(友達、かつての同期、共同研究者)ですが、類は友を呼ぶとはこのことで、教授と同じくらいすごい方ばかりです。

 

そういう人たちと勉強会や懇親会を通して人脈を作れることは、大学院生ならではの特権であります。

人脈と言われると「何を大げさな」と一蹴りにされがちですが、これは馬鹿にできません。

懇親会から人脈を広げ、インターンや就職につなげた人が自分の研究室は多くいます。

 

また、あくまで自分の研究室の話ですが、B4時代で希望していた就職先とM2時代で希望した就職先が異なる人が多くいます。

企業どころか、業界すら変わった人もいるくらいです。

予想ではありますが、日本のトップと言われる方々と触れ合うことで、自分のやりたいことや目指したいものをしっかりと見据えられたのだと思います。

要するに、トップの方と交流することは、若ければ若いほど良い経験になるということです。

 

また、一足先に就職した同期達の話を「一歩引いた状態」で聴くことで、自分の就職の道を一考することができます。

気の知れた同期であれば、基本的に何でも喋ってくれるはずです。

むしろこちらが口を閉ざしていても、同期の方から会社の自慢話や愚痴を話してくれることでしょう。

 

かつての同期の話となれば、自分が目指す業界と同じ話を聞くことが多いはずです。自分の将来の姿を映すことができます。

同期の話を聞いて、自分がどういう社会人になっていくのか想像できる点は、意外と重要なことだと思います。

 

 

メリット5:ガチな人たちと生活を共にする

大学院ともなると、本気で研究に打ち込んでいるガチ勢ばかりで恐縮します。

ガチ勢が多い理由は、「お金を払って研究をする」という環境にあると思います。

 

大学院生は、社会人と同じくらい活動しておきながら1円の給料ももらうことなく、逆にこちらが年に60万円(国立の場合)お金を支払っています。

このような制度の中で研究をし続けられるのは、ある程度の覚悟と我慢強さがない人でなければ無理です。

裏を返せば、そうまでして研究を通して自分を磨きたい人が多いということになります。

 

そんな背景もあり、大学院生はローマ時代の奴隷も真っ青になる勢いで働きつぶしています。

「24:00を過ぎたらブラック研究室だから、23:58にはみんな帰ろう」、「俺はたった今から土日を捨てる!」、「祝日は、ない(笑)」。

こんなワードが生まれるくらいに、忙しい研究室は狂っています。

 

そういう厳しい環境下に置かれながらも、日本人はこれが当たり前と思い、自分も何とか頑張らないとという気持ちが働き、人に合わせて活動するようになります。

これは日本特有の同調圧力であり、良い方向に働いている同調圧力です。

 

ガチな人は、そのまま厳しい環境で修士を戦い抜きます。

ガチじゃない人も、周りの人たちに合わせて活動することで、修士を終えた時点でガチになります。

自分の担当教授は、「どんなところに就職しても、周りに引け目なく戦っていけるようになってほしい」と言っています。

自分の研究室は学歴の割に良いところに就職できていますが、どの先輩も周りに呑まれることなく活躍しているそうです。

 

当然大学院に行かずに就職しても、ガチな人たちが多い職場に恵まれることはあるでしょう。

しかし、若いうちにガチな集団で頑張ったことがあるかどうかが、今後の人生を生きる上で大切な経験になると思います。

そういう経験を提供してくれる大学院は、間違いなく自分のレベルアップにつながると確信しています。

 

 

最後に

以上までが、私が考える大学院のメリットであり、得られる「経験」です。

2019年時点では、同じようなことを書いてある記事にヒットしないので、幾らかの参考にはなるかと思います。

大学院を小さな企業と捉えることは、おそらくこの記事が初めてだと思いますしね。

 

ここまでを踏まえると、大学院に行くメリットは海外旅行のように、自分の視点や考え方を変えてくれることだと思います。

研究をやり通すことができれば、おそらく何かしらの真理にたどり着きます。それは人それぞれに違うものであり、種々様々な気付きや悟りを開いていくはずです。

 

それが、大きいことだとか小さいことだとかは関係ありません。

自分はこんなことに秀でいた。自分はこんなことが苦手だった。こんな小さな気づきでも、私は良いと思うのです。

そういった何かしらの気づきがあるから、大学院での生活は輝くのです。

そして、大学院を最後まで修了した人たちは、皆こぞって「大学院に行って良かった」と話してくれるのだと思います。


初回公開日:2019年3月17日
初回公開日:2019年3月17日